1996年に公開された映画『ユージュアル・サスペクツ』。
サスペンスの名作として語り継がれる本作は、30年前の映画にもかかわらず今見てもなお物語に引き込まれる魅力があります。
「聞いたことはあるけど、どんな話なの?」「今見たらつまらないんじゃない?」といった声もあるようなので、今回は、『ユージュアル・サスペクツ』のみどころやあらすじを解説していきます。
謎の人物「カイザー・ソゼ」をめぐるサスペンス
映画『ユージュアル・サスペクツ』は、犯罪の常習者である5人の男たちがとある強盗事件の容疑者として捕まり、その出会いをきっかけにチームを組んで新たな犯罪に加担していくクライムサスペンスです。
5人で順調に仕事をこなしていたある日、謎の人物「カイザー・ソゼ」が彼らに接触してきたことでどんどん歯車が狂っていきます。
そして、最終的には身体に障害を抱えるキント(ケビン・スペイシー)だけが生き残ることに。
▼『ユージュアル・サスペクツ』のみどころ
それでは解説していきましょう。
5人の容疑者にはじつは共通点があった?
最初に銃強盗事件で集められた、強奪犯コンビのマクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)とフェンスター(ベニチオ・デル・トロ)、爆弾魔のホックニー(ケヴィン・ポラック)、詐欺師のキント、元汚職警官のキートン(ガブリエル・バーン)は、容疑者としてよく挙がる人物(ユージュアル・サスペクツ)として連行されただけかに思われていました。
しかし、ふたを開けてみると5人には知らないうちにカイザー・ソゼの仕事を邪魔した過去があったのです。
本当に「カイザー・ソゼ」という人物がが存在するのか彼らは疑うものの、ソゼから落とし前をつけろと依頼された麻薬密輸船の爆破について断れない状況に徐々に陥っていき、冒頭の爆破シーンへつながります。
カイザー・ソゼの正体は?元・汚職刑事が黒幕?!
「カイザー・ソゼ」は、過去の残虐な手口から恐れられている都市伝説的な犯罪者です。
正体を知る者はほとんど存在せず、今回の船爆破事件でようやくその片鱗を警察がつかみます。
事件の経緯についてキントを尋問する関税特別捜査官クイヤン(チャズ・パルミンテリ)は、リーダー的な動きを見せていた元・汚職刑事キートンが事件の黒幕でソゼの名を語っているのだろうと推測するのですが・・・。
若き日のベニチオ・デル・トロが初々しい
今でこそ数々の映画賞の受賞やノミネートの常連である渋い二枚目俳優ですが、本作に出演時(当時28歳)は小物感が半端ないところがかわいいです。
演技なのかガチなのかは定かではありませんが、高い声でスペイン語なまりの英語が配役にマッチしていていますよ。
本作で強烈な印象を残した後、2000年に公開された『トラフィック』ではアカデミー助演男優賞を受賞し、その後も数々の話題作に出演しました。
監督はブライアン・シンガー
監督は、本作で一躍注目を集めたあと、2000年に公開された『X-MEN』を皮切りに、その後のシリーズでもメガホンをとっています。
2018年にはイギリスのロックバンド・クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』が公開され、大きな反響を得ました。
映画『ユージュアル・サスペクツ』のあらすじ
物語は、銃の強奪事件の容疑者として5人が集められるところから始まります。強盗コンビ、爆弾魔、詐欺師、元汚職刑事からなる「ユージュアル・サスペクツ」(容疑者としていつも名前が挙がる人物)。彼らは元汚職刑事・キートンの恋人でやり手弁護士の力ですぐに釈放されますが、強盗コンビのひとり・マクマナスから新たな犯行を持ち掛けられます。はじめは足を洗ったと拒絶していたキートンですが、大金に目がくらみ再び犯罪に手を染めていくことに。
順調に仕事をこなす5人ですが、ある日アクシデントから襲撃した相手を殺してしまいます。殺しはやらないという最初のスタンスから外れたことで徐々に歯車が狂っていき、ついに伝説の人物「カイザー・ソゼ」から仕事の依頼が舞い込んできて・・・。
ラスト5分の大どんでん返しが痛快!
※ネタバレ注意!
本作最大のみどころはラスト5分です。
クイヤン捜査官の気持ちにリンクして、「えっそうなの?!」となります。
ただ、キントがカイザー・ソゼであるかのように見えますが、そもそもキントが語ったカイザー・ソゼの逸話が真実かは明らかではありません。(ただし、爆破した船の乗組員は過去にソゼが報復したハンガリー人の組織に関連している可能性は高い)
結局、キントが語った話はどこまでが本当なのかはわからないですが、ケヴィン・スペイシーの演技力に脱帽です。
本作でケヴィン・スペイシーはアカデミー助演男優賞を受賞しており、番手は低いですが主役級の存在感を放っています。
作品詳細
原題:The Usual Suspects
公開日:1996年4月13日
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
出演:ガブリエル・バーン、スティーヴン・ボールドウィン、ベニチオ・デル・トロ、ケヴィン・ポラック、ケヴィン・スペイシー、チャズ・パルミンテリ