映画「ミザリー」キャシー・ベイツの狂気的な演技に注目のサイコサスペンス

映画

スティーヴン・キングの小説が映画化された『ミザリー』。

「ホラーの帝王」の異名をもつキングが原作なだけあって、じわじわ襲い来る緊張感がたまらないサイコサスペンスの名作です。

小説版ももちろんおもしろいですが、映画化されてもより巧妙な恐怖感を増す映画『ミザリー』のみどころやあらすじについてご紹介していきます。

小説家と過激なファンの出会いから恐怖の監禁生活がはじまる

引用元:amazon prime

映画『ミザリー』は、大衆小説シリーズ「ミザリー」の作家が事故に遭い、偶然保護してくれた先が「ミザリー」の熱狂的なファンだったことから恐怖の日々を過ごすことになるサイコサスペンスです。

身動きの取れない閉鎖的な状況で、次第に狂気的な本性をあらわにしていく元看護士の小説「ミザリー」ファンと、心身ともにどんどん追い詰められていく作家との攻防戦が手に汗握ります。

▼『ミザリー』のみどころ

それでは解説していきましょう。

雪山で助けてくれた恩人は小説「ミザリー」の熱狂的ファンだった?!

雪山の自動車事故で脚に重症を負った小説家のポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)を助けてくれたのは、ポールが執筆する小説「ミザリー」シリーズのファンだという元看護士のアニー(キャシー・ベイツ)。

はじめは温和な雰囲気のアニーですが、最新作の原稿を見て事態は一変。推しのヒロインが死ぬ展開に激怒してポールに書き直しを要求します。

この映画のみどころのひとつは、穏やかだと思っていた人がぶち切れるときの怖さです。

好きな小説の展開に限らず、熱狂的なファンが推しの理想を壊されることを異常に嫌う姿というのは、アニーに限ったことではないように思います。昨今だと、裏切られたと思ったファンがSNSで叩く様は、現代のアニーのように感じざるを得ません。

原作より過激表現は少ないが心理的な恐ろしさが続く

私は原作の小説を先に見ていたのですが、映画では小説ほどの過激なシーンは控えめです。

かといって怖さが半減するかと言ったらそうではなく、アニーに精神的に追い詰められていく恐怖の心理描写が見事に描かれています。直接的な暴力表現が控えめな分、想像での怖さが掻き立てられて、見終わったあとも恐ろしさが残るのは映画のほうかもしれませんね。

キャシー・ベイツの演技も素晴らしく、まさしく小説を見ていた時に想像していたとおりのアニーがそこにいます。

原作者スティーヴン・キングがモデル?

本作をはじめ『キャリー』『シャイニング』など数々のホラー作品をヒットさせる一方、『ショーシャンクの空に』や『スタンド・バイ・ミー』など人間ドラマを描いた作品も多く手掛けるスティーブン・キング。

そんな売れっ子作家のキングも過激な熱狂的ファンに悩まされたことがあり、小説『ミザリー』は自身がモデルなのではと一説で言われています。

また、『ミザリー』を執筆当時はキング自身アルコールや薬物依存に陥っており、その精神的苦痛を脚が動かず思うように身動きが取れなくなった主人公ポールに投影させていたとも考えられます。

映画『ミザリー』のあらすじ

恋愛小説シリーズ「ミザリー」の人気作家ポール・シェルダンは、新作を書き上げたあとに雪山で自動車事故を起こしてしまいます。瀕死の重傷を負ったポールを救ったのは偶然通りかかった元看護士のアニー。人里離れた自宅で適切な処置をしてくれたために一命はとりとめるものの、脚の怪我が重症で自力では身動きが取れません。

そんなポールを献身的に介護するアニーをはじめは親切だと思っていたポールですが、所持していた新作の「ミザリー・シリーズ」をアニーが読んでしまうことから事態は一変。ヒロインが死んでしまう展開に激怒し、書き直すように強要してきます。

はじめはもちろん断りますが、半ば監禁状態にあるポールに対して次第にアニーの狂気的な面が顔を覗かせていき・・・。

監督はロブ・ライナー

本作の監督ロブ・ライナーは、日本でもヒットした『スタンド・バイ・ミー』や『恋人たちの予感』といった作品も手掛けており、2010年以降ではモーガン・フリーマン出演の『最高の人生のはじめ方』が記憶に新しいのではないでしょうか。

『スタンド・バイ・ミー』は同じくキング原作ですが、数々の監督作品はハートフルな映画が多く、『ミザリー』だけ異彩を放っているように見えます。しかし、緻密な心理描写が大切な人間ドラマを得意とするロブ・ライナーだからこそ、映画『ミザリー』ではポールとアニーの鬼気迫ったやりとりがドキドキハラハラ感を誘うのでしょう。

作品詳細

原題:Misery
公開日:1991年2月16日
監督:ロブ・ライナー
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
原作:スティーヴン・キング
出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ

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