映画『ジョーカー』悪役を生んだ悲しい物語を描くヒューマンサスペンス

映画

「嗤っているのか、哭いているのか」

世界で最も有名な悪役のひとり「ジョーカー」

本作は従来のジョーカー像とは異なる角度から描いており、ひとりの青年がどうやって悪の親玉になっていくのか見どころ満載です。

コメディアンを目指す心優しき青年がモンスターへ変貌するヒューマンサスペンス

バットマンシリーズをまったく知らない人でも十分楽しめる

バットマン

引用元:Pixabay

じつは、私自身アメコミにあまり興味がなく、バッドマンシリーズもテレビで流れていたのをなんとなく見たことあるかな程度。

いくら原作の世界観からは異なると言われても『ジョーカー』というタイトルからして、「知識がなくて楽しめるかな」と若干不安だったのですがそんなことはまったくない!

バッドマンシリーズを知らなくても一本の映画として十分楽しめる作品です!

母思いの青年を追い詰める不条理な世界

ニューヨーク

引用元:Pixabay

ピエロとして働く主人公・アーサー(ホアキン・フェニックス)は緊張すると急に笑い出してしまうという持病を抱えてはいますが、どこにでもいる穏やかな青年

物語は、そんなアーサーが仕事中に悪ガキたちに襲われたり職場で理不尽な扱いを受けたりする陰鬱とした展開で進みます。

母親を気づかう優しさを見せるアーサーが、自分に対して優しくない環境に取り巻かれ続けたことで次第に変貌していく姿。

これは、彼だけに起こり得ることではないのではないでしょうか。

心が繊細だからこそ、長年理不尽な扱いを受け続けてきたことでついに一線を越えてしまう場面は、決して彼だけのせいだとは思えないのです。

ジョーカーの口が裂けている理由とは?笑いは病気なの?

ピエロ

引用元:Pixabay

ジョーカーと言えば白塗りのような顔に割けた口がトレードマークで、オリジナルでは工場の化学薬品の溶液に落ちて真っ白な皮膚になり、緑の髪と割けた口になったという設定です。

本作ではエロメイクの延長で、心理的な変化を表すシンボルのようになっています。

また、本作のアーサーは緊張すると発作的に笑い出してしまう病気(トゥレット症候群)を発症しています。

笑いたくないのに空気を読めずに笑ってしまうことで、より世間から遠巻きにされて孤立を深めていくのです。

個性派俳優・ホアキン・フェニックスの怪演

主演のホアキン・フェニックスは子役からスタートさせたキャリアの長い俳優。兄弟も芸能活動をしており、兄のリバー・フェニックスは映画『スタンドバイミー』に出演するなどして一躍スターになった人でもあります。

この映画のために80kg以上あった体重を3ヵ月で58kgまで減量したというエピソードがあります。ハイウッド俳優はオフのとき体型を崩して撮影に入ったら戻すサイクルをよく見ますよね。さすがです。

制作当初マーティン・スコセッシが携わっていたことから、ジョーカー役にはレオナルド・ディカプリオも候補に挙がっていたそうです。

ディカプリオのジョーカーも気になりますが、ホアキン・フェニックスの悲壮感漂いながら徐々に狂っていく姿は見事にハマって圧巻です。

監督はトッド・フィリップス

トッド・フィリップスは超ヒット作『ハングオーバー』シリーズを手掛けている監督です。

『ジョーカー』を見終わってから知ったのですが、繰り返し見るほどドはまりしたあの突き抜けたコメディ映画を作った監督がこんな情緒あふれる映画を作ったことにびっくりです。

でも、ハングオーバーシリーズもよく作りこまれている繰り返し見たくなる作品なので、映画監督としてのこだわりを感じて納得ですね。

映画『ジョーカー』あらすじ

舞台は1981年のゴッサム・シティで、貧富の差が激しい荒廃したニューヨークのような街。コメディアンを目指すアーサーは派遣ピエロとして働きながら認知症気味の母の面倒をみて暮らしています。

ある日、ピエロの勤務中に不良の若者たちに絡まれて暴行を受けたことで、同僚の一人から護身用にと拳銃を半ば強引に手渡されます。

この拳銃が発端となり、アーサーは自らが望んでいない様々なアクシデントに見舞われていくのですが…。

作品紹介

原題:Joker
日本公開日: 2019年10月4日
監督:トッド・フィリップス
脚本:スコット・シルヴァー、トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ

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