映画『羊たちの沈黙』はどんな話?なぜ名作と言われるかネタバレ解説

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言わずと知れたサスペンス映画の傑作『羊たちの沈黙』。この映画を見たことがないという人でも、「レクター博士」や「ハンニバル・レクター」という名前を聞いたこはあるかもしれませんね。

今回は、そんな有名キャラクターを生み出した映画「羊たちの沈黙」について、「なぜ名作と言われるのか?」「レクター博士ってどんな人?」といった疑問についてもご紹介していきます。

映画『羊たちの沈黙』のあらすじ

羊

引用元:Pixabay

若い女性をターゲットにした連続猟奇殺人鬼「バッファロー・ビル」が世の中を騒がせている中、FBIアカデミーで訓練中の実習生クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)は事件を担当している上司・クロフォードに呼び出される。

手詰まりになっている捜査に少しでも進展が欲しいクロフォードは、著名な精神科医であり過去に凶悪な殺人事件を起こして収監されているハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)のアドバイスを求めているが、これまでは拒否されていた。そこで半ばダメ元で白羽の矢を立てたのが、若くて美しいクラリス。

クラリスがレクターの元に向かうと、はじめは非協力的だったもののどこか琴線に触れたのか次第に助言を与えるように。そんな中、新たに上院議員の娘がバッファロー・ビルに誘拐される事件が発生。クラリスはレクターのヒントをもとに犯人像にせまっていくのですが・・・。

クラリスとレクターの間に生まれる奇妙な信頼関係

小さな蝶

引用元:Pixabay

クラリスが初めてレクターを訪ねた際は、出自やFBIに入る経緯を分析してクラリスを精神的に追い詰めます。しかし、帰り際にレクターの隣の独房の囚人がクラリスに無礼を働いたことで謝罪の意味を込めてヒントを提供。冷酷な人柄のはずがクラリスに手を差し伸べる紳士的な一面が垣間見えます。

交流を繰り返すうちに、クラリスも自身の幼いときのトラウマを告白することでカウンセリングを受けるような奇妙な精神状態に。

物語のラストでは、見事に脱獄を図ったレクターがクラリスのFBI捜査官への任命を祝うためにわざわざ電話してきたところからも、特別視しているのは明確です。

シリーズ化され数々のスピンオフ作品も誕生

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1991年に公開された『羊たちの沈黙』を皮切りに、数々のシリーズ作品やスピンオフ作品が公開されています。

▼シリーズ・スピンオフ作品

  • 羊たちの沈黙(1991年)
  • ハンニバル(2001年)
  • レッド・ドラゴン(2002年)
  • ハンニバル・ライジング(2007年)
  • ハンニバル(テレビドラマ)(2013年)

『羊たちの沈黙』はバッファロー・ビルの事件を軸に描いたサスペンスドラマですが、2作目以降はレクターにスポットライトが当たります。

2作目の『ハンニバル』は『羊たちの沈黙』のラストでレクターが脱獄したその後を描いており、4作目の『ハンニバル・ライジング』ではレクターがどのように殺人鬼となったのか過去が描かれています。

特に、エンターテインメント性が高い『ハンニバル』がおすすめ。クラリスとの関係性も相まって見終わったあともさまざまな考察ができて面白いです。

なぜ名作と言われるのか?映画ネタバレ解説

ここからは『羊たちの沈黙』という作品について、名作と言われる理由も含めさらに深堀していきます。

ネタバレもありますので、まだご覧になっていない方はご注意ください。

凶悪犯に教えを乞うという設定の面白さ

教え

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タイトルになっている「羊たちの沈黙」の意味は、クラリスが幼少期に抱えたトラウマを克服することを指しています。

クラリスは幼少期に牧場で暮らしており、商品になる羊の断末魔のような悲鳴がいまだに忘れられません。物語の中盤、クラリスはレクターに誘導されるようにこのトラウマを打ち明け、カウンセリングのような形で感情を吐露させています。これがきっかけでクラリスからレクターへの信頼も深まり、教えを乞う形で犯人へ一歩ずつ近づいていくのです。

最終的に、幼少期に救えなかった「羊たち」の代わりに殺人鬼に捕えられた被害者を救い出すことで、羊たちの悲鳴が鳴き止む(トラウマ克服)という物語です。

レクター博士は実話?人物像や犯行の内容は?

プリズン

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この映画のみどころは、なんといっても”レクター博士”の圧倒的なカリスマ性です。

独房の壁には自身が描いた緻密な絵画が貼られており、芸術に造詣が深いところがわかります。元精神科医だけあって、犯人像のプロファイリングや相対する人の精神分析はお手の物。多岐の分野で深い知識を持っており、天才的な頭脳であることが容易に感じとれます。

また、元貴族だけあって物腰は柔らかく食事シーンなどの所作も優雅。そんな紳士的な”レクター博士”が突然キバを剝く瞬間がギャップがものすごくてしびれます。過去には殺害した人の臓器を食べる異常な行為から「ハンニバル(カニバル=人食い)・レクター」と呼ばれています。

悪役にも関わらず根強いファンが存在し、その後2001年には”レクター博士”をメインにした映画『ハンニバル』へと続きます。

バッファロー・ビルにはモデルが存在する?

本作で捜査対象である殺人鬼バファロー・ビルは、若いふくよかな女性に言葉巧みに近づき監禁して殺害、その後皮膚を剥いで服を作るという特殊性癖があります。

作中では女装する姿やたくさんの蛾を育てる様子が描かれており、小型犬「プレシャス」を溺愛する様子など随所で異常性を感じます。

原作者のトマス・ハリスによると、バッファロー・ビルのモデルは猟奇殺人者として有名なエド・ゲインとテッド・バンディで、どちらも死体を損壊して時には弄ぶという要素が取り入れられています。

アカデミー賞主要5部門受賞の快挙

アワード

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本作は、作品賞、監督賞、主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)、主演女優賞(ジョディ・フォスター)、脚本賞と、ホラー・サスペンス映画の分野では珍しい、アカデミー賞主要5部門を受賞しています。

他には『或る夜の出来事(1934)』と『カッコーの巣の上で(1975)』の2作品しか主要5部門制覇していないことから、『羊たちの沈黙』が名作だと言われる所以もわかるでしょう。

映画『羊たちの沈黙』のネタバレ解説まとめ

ここまで、映画『羊たちの沈黙』についてネタバレありでご紹介してきました。今なお根強い人気を誇るレクター博士を誕生させたサスペンスホラーの名作であり、世代を問わずおすすめしたい映画です。

以前観たことがある方も、シリーズ通して観ると新たな発見があっておもしろいかもしれませんよ。

▼作品詳細
原題:The Silence of the Lambs
日本公開日:1991年6月14日
監督:ジョナサン・デミ
脚本:テッド・タリー
原作:トマス・ハリス
出演:ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン、テッド・レヴィン、アンソニー・ヒールド

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