大どんでん返しの映画『ユージュアル・サスペクツ』をネタバレ解説

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『ユージュアル・サスペクツ』という映画を知らなくても「カイザー・ソゼ」という単語を聞いたことがある方はいるかもしれませんね。テレビを観ているとき、この映画を知っている人が「謎の黒幕」的な使い方で会話に出すこともありますから。

私にとってはこの作品を観て初めて「伏線回収」という言葉を実感した思い出深い映画です。

今回は『ユージュアル・サスペクツ』についてネタバレありの解説をしていきます。まだ見たことない、もう一度見返したいという方は、ぜひチェックしてください。

映画『ユージュアル・サスペクツ』のあらすじ

映画の冒頭、港に停泊する船のシーンから始まり、ある男が殺されて船が爆破されます。その船はマフィアの麻薬密輸船であり、マフィアと対立組織の抗争によるものと判断した関税局捜査官のクイヤンは、唯一の生き残りである詐欺師のキントを尋問することに。元々左側の手足に麻痺があるキントは、麻薬密輸船爆破事故が起こるまでの経緯を語り始めます。

はじまりは、とある街で銃の強奪事件が起きたことで集められた5人の容疑者。彼らは強盗コンビ、爆弾魔、詐欺師、元汚職刑事で、特に証拠がなくても容疑を疑われる面子。案の定犯人は特定できず、元刑事のキートンが付き合っている女弁護士の力ですぐにみんな釈放されます。そこで強盗コンビのひとり・マクマナスは宝石強奪という新たな犯行を持ち掛けます。他のメンツは乗り気なところ、キートンは足を洗ったと拒絶していたのですが、誘いを断り切れずに再び犯罪に手を染めることに。

宝石強奪を成功させた5人は新たに宝石強奪の仕事を請け負いますが、強奪したケースに入っていたのは宝石ではなく麻薬。話がちがうと依頼人に詰め寄ると、大元の依頼人に会うよう指示されます。そこで出会ったのは伝説のギャング「カイザー・ソゼ」の代理人という弁護士の「コバヤシ」。コバヤシによると、5人にはそれぞれカイザー・ソゼの仕事をそれとは知らず邪魔をした過去があり、麻薬密輸船を襲撃して借りを返せという命令が下されます。ひとり逃げ出したボールドウィンが死体となって見つかったことから、残る4人は観念して仕事を遂行することに・・・。

謎の男「カイザー・ソゼ」

謎の男「カイザー・ソゼ」は、裏社会を牛耳っているとされる伝説的なギャングです。

敵対組織に妻と子どもたちを人質に取られた際は自分で家族を打ち抜き、その報復として敵対組織の家族をすべて皆殺しにしたという逸話があるため冷酷で残忍な人物としてタブー扱いされています。

誰も姿かたちを知らないことも都市伝説の要素に一役買っています。

驚愕のどんでん返し!映画ネタバレ解説

ここからは『ユージュアル・サスペクツ』という作品についてさらに深堀していきます。

ネタバレもありますので、まだご覧になっていない方はご注意ください。

タイトル「ユージュアル・サスペクツ」の意味とは?

ユージュアル・サスペクツは、「容疑者としていつも名前が挙がる人物」という意味です。物語の序盤で銃強奪事件の容疑者として集められた5人も、何か事件が起こったときに特に証拠がなくても名前が上がる面々。いつものことだと焦燥感はまるでありません。

しかし、この邂逅が単なる偶然ではなく、実はカイザー・ソゼと因縁があるメンバーだと後々明らかになっていきます。そのことを知ったときには時すでに遅く、彼らの命運はソゼの手のひらに握られているのです。

意外とわかりづらい登場人物まとめ

映画を観ていると登場人物の多さや似たような名前からわかりづらくなるかもしれません。抑えておきたい主要人物をご紹介します。

  • キートン(ガブリエル・バーン)汚職に手を染めた元刑事
  • マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)銃の扱いに長けた強盗犯
  • ボールドウィン(ベニチオ・デル・トロ)英語に訛りがあるマクマナスの相棒
  • ホックニー(ケヴィン・ポラック)爆薬の扱いに長けた爆弾魔
  • キント(ケヴィン・スペイシー)ケチな詐欺師

彼らの中でカイザー・ソゼなのではと疑われているのはキートンです。過去に数々の犯罪を犯し、即席ユニットのチームでリーダーとして振る舞っていることもあり警察は最有力と見ています。ちなみに、冒頭シーンの船上で殺されるのはこのキートンです。

黒幕と疑われるキートンと唯一の生き残り・キント

キントの回想シーンとして描かれる物語は、基本的にキートンがメインのストーリーです。実際、関税局捜査官のクイヤンは、まわりから一目置かれているキートンのことをカイザー・ソゼなのではと疑っています。一方、唯一の生き残りキントについてはただのちんけな詐欺師だという認識です。犯罪者としてのオーラも感じないし、巻き込まれた情けない男かのように扱います。

お前みたいな実力がない人間が生き残れてラッキーだと思っているクイヤンは、拘留期限が切れたキントの退出を許します。しかし、警察署を出るにしたがって不自由だったはずのキントの脚は正常に動くようになり、手足の麻痺もなくなります。そう、最初からすべて「ヴァーバル・キント」という人物は演技だったのです。

どこまでが本当?カイザー・ソゼの正体とは

キントが去った後、クイヤンは何気なく壁に貼り廻らされた捜査資料の単語を観て、最後の最後でキントが話していたことが創作だと気づきます。慌てて追いかけるもキントはすでに見つからず。せっかくのヒントを逃すのです。

一方、警察署から出たキントは一歩踏み出すごとに障害と思われていた引きづりもなく正常に歩いていきます。そう、障がい者の姿はすべて演技だったのです。

警察署から出たキントを迎えたのはソゼの代理人として登場した「コバヤシ」。最後までソゼ本人かは明らかにされませんが最後の最後で一気に発されるカリスマ性は圧倒的で、視聴者にキントがソゼなんだろうと確信させる演技は見事です。

監督は『ボヘミアン・ラプソディ』のブライアン・シンガー

監督は、本作で一躍注目を集めたあと、2000年に公開された『X-MEN』を皮切りに、その後のシリーズでもメガホンをとっています。

2018年にはイギリスのロックバンド・クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』が公開され、日本でも大きな反響を得ました。

映画『ユージュアル・サスペクツ』のネタバレ解説まとめ

ここまで、映画『ユージュアル・サスペクツ』についてネタバレありでご紹介してきました。最後の大どんでん返しは見事で今なお色褪せない名作です。

以前観たことがある方も、結末を知っていると別の視点で新たな発見があるかもしれませんよ。

▼作品詳細
原題:The Usual Suspects
日本公開日:1996年4月13日
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
出演:ガブリエル・バーン、スティーヴン・ボールドウィン、ベニチオ・デル・トロ、ケヴィン・ポラック、ケヴィン・スペイシー、チャズ・パルミンテリ

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